ザッケローニ SAMURAI BLUE監督手記 イル ミオ ジャッポーネ“私の日本”

vol.092012.01.01 UP DATE「あけましておめでとうございます」

 「FELICE ANNO NUOVO(フェリーチェ アンノ ヌオーヴォ)!」
あけましておめでとうございます。今年1年、皆さんが健やかでいられることをお祈りします。

 さて、私は新年を故郷で迎えました。昨年は1月にアジアカップがカタールであったためにイタリアには帰らず、日本で年末年始を過ごしました。チェゼナティコでの新年は2年ぶりということになります。この時期のチェゼナティコは結構、湿気があって、寒さも厳しい場所になります。

 ここでチェゼナティコ地域での一般的な年末年始の過ごし方を簡単に紹介しましょう。まず、われわれには日本の初詣のような習慣はありません。イタリア人が何かに願いごとをするのは流れ星を見たときくらいです。クリスマスイブには町を挙げての大ビンゴ大会をします。地元の商店街やスーパーで、ある一定以上の買い物をするとビンゴのシートがもらえます。それを持ち寄って、夜中の9時くらいから町で一番大きな広場に集まるのです。この夜ばかりは子供も参加します。最高で2000ユーロの賞金が当たりますから結構な盛り上がりになります。クリスマスと地域振興を兼ねたイベントといえるでしょう。

 それが正午過ぎに終わって家に帰ると、クリスマスツリーの下にサンタクロースからのプレゼントが置いてあります。ビンゴ大会から戻って、それを開けるのが私が暮らす地域の子供たちの一番の楽しみといえるでしょう。

 クリスマスの時期、私にとってプレゼント選びはちょっとした悩み事になります。実はプレゼントを選ぶのがあまり得意じゃないのです。どちらかというと「気にいってもらえるかな」「どうかな」と不安が勝ってしまうタイプで…。

 25日にはクリスマスのランチを家族全員で楽しむことが一般的です。それからは家族、友人たちとの会食やパーティーが連日のように続きます。私がイタリアに行くとパスタとかオリーブオイルを使った料理をついつい食べ過ぎて体重は2キロ増しになります。もし、私が黒いシャツを着て成田に帰ってきたら、着やせして見せるためと思ってください。

 それはさておき、私が住んでいる地域には1日の朝に全然知らない子供が家を訪ねてくると、その子に小銭をあげる風習があります。大人たちにとっては、大みそかに深酒して寝込んでいるところを「キコン」「キコン」と玄関の呼び鈴を鳴らされるわけですが、これも子供たちには、ハロウィーンとお年玉を足したような、楽しみなイベントなのです。

 1月の最初に重要な祝日は日本のように元日ではなく、6日の「EPIFANIA(エピファニア)」になります。東方の3博士がイエスさまの誕生をお祝いし、それぞれ贈り物を持ってきたことにちなんで、箒にまたがった老婆(BEFANA(ベファーナ))が、いい子にはお菓子を、悪い子には石炭を、靴下に入れてプレゼントすることになっている日です。この日でクリスマスツリーは片付けられます。学校の冬休みもここまでで「あしたから学校に行きなさいよ」という区切りにもなっています。

 私は神頼みや運などを重要視しないタイプです。監督をやっていないフリーの時は、いいチームといいタイミングで巡り合えるといいなあと思ったりしますが、監督という仕事に就くと夢見るタイプではまったくなくなります。

 そんな私の唯一の願いは選手がケガをしないことです。同じ負けるにしても、自分たちが弱くて負けるなら仕方ないですが、選手がケガで良い状態で臨めなかったことが敗因になるのは本当に残念なことですから。

 2月の試合は最終予選に向けた最後の連戦になります。呼びたい選手が全員、ケガなく健康に無事に集まってくれることを心から願っています。

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