ザッケローニ SAMURAI BLUE監督手記 イル ミオ ジャッポーネ“私の日本”

vol.222013.1.1 UP DATE「あけましておめでとうございます」

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいいたします。サッカーを愛するすべての人に幸せが訪れますよう祈っています。

さて、2013年を皆さんはどういう年にしたいですか。日本代表監督としての私はチームを大きく飛躍させなければならないと思っています。ワールドカップイヤーの14年は本大会まで半年しかなく、そのほとんどは各国とも国内リーグに費やされます。代表の強化に充てられるのは大会直前に限られるでしょう。チームを継続的に、より高いレベルに成長させるために、今年を有効に使っていきたい。コンフェデレーションズカップも含めた今年は大きなポイントになるでしょう。そこで大きなテストもしたい。そんなふうに今から思い定めています。

チームを成長させるその時間は、ワールドカップ出場を早く決めれば決めるほど長く取れることになります。私としては、タフなアウェー戦ではありますが、3月のヨルダン戦でブラジル行きのチケットを手にしたいと思っています。6月のコンフェデレーションズカップの重要性は前回述べたとおりですが、もし、日本がコンフェデレーションズカップまでにW杯出場を決めていたら、それと同じくらい大事になってくるのが9月、10月、11月と毎月2試合ずつ設けられたインターナショナルマッチデーです。9月以降のこれらマッチデーは欧州ではワールドカップ予選に使われるため、日本がテストマッチを組もうとしても対戦相手を見つけることさえ容易ではありませんが、そういう困難を克服して質の高いマッチメークができたら、と願っています。

就任以来、私はチームの幹にあたるセンターラインの選手を頻繁に変えることはしてきませんでした。代表チームに限らない、クラブでも、それは私のチーム作りのポリシーであります。人間と同じく強い背骨、軸を作ることはチームの基本です。かといって、現行のメンバー、現行のシステム、現行の戦法でブラジル本大会も戦うと決めているわけではありません。今は出場機会が少ないメンバー、今は一度も代表に呼ばれたことのないメンバーにもブラジル行きの飛行機に乗れる可能性はあります。何と言っても本番まではまだ1年半もあるのですから。むしろ、私としては代表の常連組を下から突き上げる選手の登場を待ち望む気持ちがあります。そうやって突き上げるグループがいてこそ常連組も危機感を持ち、チーム内に正しい競争が広がり、緊張感も維持されると思っています。

ブラジルの本大会まで絶対のレギュラーなど作る気はありません。そういうチョイスを選手は私に与えてくれなければなりません。ベースはクラブでの活躍です。クラブでのパフォーマンスがあってこその代表ですから。正確に、積極的に、継続的に自分の良さを見せてほしいと思います。代表に集まって試合をして強化することは大事ですが、一番重要なのは所属クラブでの日々のトレーニング、週末、週中の試合に出場し、しっかりとしたプレーをすることです。

これは何も若い選手向けのメッセージではありません。日本の内外でプレーする、あらゆる層の選手を対象にしたメッセージです。能力のある人間、コンディションの伴った人間、チームのコンセプトを理解できる人間、向上心を持っている人間、グループ全体の力を強めることでチームは伸びていきますからそれに見合う人間…。そういう選手がどんどん出てきてほしい。それが私の新年の願い、といえるかもしれません。

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