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 ワールドカップ・南アフリカ大会準決勝第1試合が7月6日にケープタウンで行われ、オランダがウルグアイを3-2で下して32年ぶりとなる決勝進出を決めた。

 

 オランダはDFファンブロンクホルストが前半18分に左サイドから豪快な一撃を放ってリードを奪ったが、40年ぶりの4強入りをしたウルグアイも果敢に勝負を挑み、前半41分にFWフォルランが、意表を突くロングレンジからのシュートを決めて同点にした。

 

 だが1-1で折り返した後半、オランダはFWシュナイダ―、MFロッベンら主力が70分、73分と相次いで得点。特に、ロッベンのゴールは、左サイドからMFカイトが上げたクロスに、ゴール前のスペースにDFを置き去りにしながら鋭く走り込んで決めたもの。スペースを狙う鋭い嗅覚と動きが光った場面だった。

 

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 ウルグアイはトレードマークの堅守から速攻で勝機を探ろうとしていたが、前半は前線の二人と中盤から後ろとの間に距離が開きすぎる場面もあり、なかなかペースをつかめない。加えて、準々決勝で退場になったFWスアレスの不在は大きく、オランダに十分なインパクトを与えるまでにはいかなかった。

 それでも、3-1にされた終盤、ゴール前の狭いスペースに入り込んだ味方に、細かいパスをピンポイントで送り込んで揺さぶりをかけ、そこからロスタイムに1点を奪うしぶとさを見せた。

 

 74年に西ドイツ、78年にアルゼンチンに敗れて優勝を逃しているオランダは、ワールドカップ初制覇を賭けて、7日の準決勝第2試合のドイツ-スペインの勝者と11日にヨハネスブルグのサッカーシティで対戦する。

 

 いずれの相手が勝ち進んできても、地の利という点ではオランダが有利だろう。

 というのも、南アフリカは、かつてオランダが入植していた関係から言語や文化はオランダの影響を色濃く残し、現在もその末裔が多く居住する。特にブルームフォンテンを州都とするフリーステートの界隈は、オランダ人がオレンジ自由国なる国を建国していた歴史もある。そのせいか、翌日の地元ケープタイムズ紙は1面トップで大きくオランダの決勝進出を報じていた。

 

 地元紙の報道によれば、欧州から大会観戦に訪れているオランダ人観光客は約5千人ほどだが、南アフリカ在住のオランダ人は約66000人を数え、その多くが大会中のオランダ戦に足を運んだとみられている。

 確かに、町にはオレンジ色を身にまとったオランダサポーターが圧倒的で、グループステージの日本戦があったダーバン競技場でも、オレンジ色のサポーターの数は多かった。南アフリカはオランダにとって馴染みの深い、第2のホームとも言える場所なのだ。

 

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 ピッチ内のバトルについては、どの対戦になっても見応えがありそうだ。

 欧州勢同士という決勝の組み合わせに、「ヨーロッパ選手権と同じでつまらない」というぼやきも耳にする。だが、欧州大陸以外で開催されるワールドカップで欧州チームが勝ったことはない。その長年のジンクスを破ることになっただけでも、歴史的大会になったことは確かだ。