6月13日 ヨハネスブルグ
今回のアフリカ大会に日本からやってくるサポーター達は前回と比べると10分の1にも満たないかもしれない。だがそれだけにこの地にやってくる人たちはワールドカップに魅せられた人種といえよう。私がワークショップ会場のホテルに到着すと、その人種たちがバスから降りてきた。日本の空気もひきつれて言葉数少なに建物の中に入っていく。
これから、マッチフラッグプロジェクトの最後の仕上げである。明日スタジアムに持ち込み、掲げる為の紐付け、補強、作業を行う。
ラウンジの椅子テーブルを片づけて、道具を出してワークショップ会場の雰囲気つくりから始まる。ホテルマンたちも協力的で面白がってくれているようであ る。フラッグをトランクから出して広げると、一気に場の様相が変わった。それまでちょっと遠まきに見ていた数人が「なにからやればいいですか?」と声を掛 けてきてくれた。針と糸で刺繍をしていきましょうか。浜松からきている矢野貴章選手の友人、金沢・大阪から来ている本田圭祐のサポーター、水戸から来てい る日本の闘利王の母などの女性陣が積極的にフラッグつくりに関わってきてくれた。
このちょっと郊外にあるホテルの近辺にはショッピングモールとレストランがあり、その中は自由に行動できるが、出かけることが出来るのはその中だけであ る。あとはホテルの中で時間を過ごすしかない。明日に試合を控えて高ぶる気持ちのバランスを取るには丁度いいワークショップなのかもしれない。「刺繍は ちょっとにがてなんですけど」という男性陣には紐の取り付けとか、フラッグを繋げたり、完成したフラッグを壁に掲示したり、と段々と役回りが出来てきて、 この場で出会った人たち同士の会話も聞こえてきた。
午後1時半になり、アルジェリア対スロベニアの試合がテレビ放送が始まる。客観的に観客として見ている立場なのだけれども、明日にはスタジアムでこのフラッグが行くのかと思うと、遠い遠いアフリカの地なのだけれど、もうすぐそこまで来ているのだなと不確実な臨場感を感じる。
午後3時、カメルーンのフラッグ(120㎝×90㎝)が36枚がつながり、480㎝×360㎝のビッグマッチフラグが完成した!みんなで表に持ち出し建物の横の斜面に賭けてみる。デカイ!鮮やか!アフリカン!みんなからも歓声があがる。日本で2ヶ月間かけて全国各地で作ってきた旗が南アフリカで一つになった!さて!戦いはいよいよ明日だ!
(文責:日比野克彦)
<<前の記事 次の記事>>日比野克彦